寺島しのぶ(てらじま・しのぶ)
■1972年12月28日、京都府出身
■父は歌舞伎俳優の尾上菊五郎、母は女優の富司純子(藤純子→寺島純子)、祖父は故・尾上梅幸、弟は歌舞伎俳優の尾上菊之助という演劇一家に生を受け、大学在学中より舞台、テレビドラマを中心に活躍。
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<映画>
『シベリア超特急2』(水野晴郎、2000)
『ゲロッパ!』(井筒和幸、2003)
『ヴァイブレータ』(廣木隆一、2003)
『赤目四十八瀧心中未遂』(荒戸源次郎、2003)
『クイール』(崔洋一、2004)
『東京タワー』(源孝志、2004)
『大停電の夜に』(源孝志、2004)
<ドラマ>
『琉球の風』『あにいもうと』『八つ墓村』『愛しすぎなくてよかった』『ラブとエロス』『北条時宗』『武蔵』『剣客商売』『冬の運動会』『おとなの夏休み』『絶壁』
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寺島しのぶは、決してものすごい美人ではない。
同じ梨園の娘として産まれた松たか子と比べてしまいがちだが、華々しさという点では松たか子に劣ると思う。
しかしその分、寺島しのぶはプロとしてのコクが芝居に滲む女優である。
彼女が世間一般に注目されたのは、やはり『ヴァイブレータ』『赤目四十八瀧心中未遂』による熱演が認められ、その年の映画賞を総ナメしたとき。
この2作品で、寺島しのぶは女優としての情熱を爆発させたように感じる。
荒戸源次郎監督『赤目四十八瀧心中未遂』では兵庫県尼崎を舞台に、掃き溜めに咲く一輪の華のような女性・綾を熱演した。
そもそも彼女はこの原作に惚れ込み、読者カードに「綾役をやりたい」と書き込み、原作者である車谷長吉に送っていたそうな。
母親である富司純子に「あなたがこの役をやるなら、私は自殺する」とまで言われながらも強硬にその意思を貫き、見事に演じきった。
派手な外見とは裏腹にどこか孤独な影を背負い、猛禽類のような鋭い瞳の力を持つ綾はそこらのただ綺麗なだけの女優が演じていてはあそこまで奥行きが出なかったと思う。
個性が強い他の共演陣にひけをとらない個性でそこに存在していた。
廣木隆一監督『ヴァイブレータ』では、一転し心の病に冒されている現代女性を演じた。
声にならない叫びのようなものが、観ているこちら側にビンビンと伝わってきた。
過激なヌードシーンも、寺島しのぶと大森南朋だからこそ、優しさと切なさを併せ持った名シーンとなった。
様々な出来事も芸の肥やしとして飛躍していく寺島しのぶから目が離せない。
今後も出演作が目白押しだ。
等身大の女性を演じて、また私たちを切なくさせて欲しい。
間違いなく、今が旬の女優だ。