喜多嶋舞(きたじま・まい)
■1972年8月11日、神奈川県出身
■元祖清純派アイドル・内藤洋子と音楽家・喜多嶋修氏の間に誕生。2歳で渡米しカリフォルニアの高校に進む。幼少期から芸能界を志し、86年カメラのCMでデビュー。
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<映画>
『望郷』(斎藤耕一、1993)
『釣りバカ日誌6』(栗山富夫、1993)
『ゴト師Ⅲ』(後藤大輔、1994)
『1000マイルも離れて‐さわこの恋2』(村上治、1995)
『ミナミの帝王スペシャル』(荻庭貞明、1995)
『誘う女』(児玉隆、1995)
『GONIN2』(石井隆、1996)
『八つ墓村』(市川崑、1996)
『おもちゃ』(深作欣二、1998)
『静かなるドン・THE MOVIE』(鹿島勤、2000)
『ホーム・スイートホーム』(栗山富夫、2000)
『ITバブルと寝た女たち』(佐藤太、2007)
『月下美人』(北川篤也、2007)
『月下美人 ~追憶~』(北川篤也、2007)
『人が人を愛することのどうしようもなさ』(石井隆、2007)
<ドラマ>
『春日局』『凛々と』『姉貴の恋人』『スチュワーデスの恋人』『ときめきざかり』『ワイルドでいこう』『学校へ行こう』『恋は翼にのって』『相棒』『緋の十字架』『生物彗星WoO』『恋する日曜日』『ティッシュ』
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美少女アイドルとしてデビューし、一成風靡した後に女優に転身。
俳優との結婚と離婚を経験し、今に至る…。
石井隆監督『人が人を愛することのどうしようもなさ』で喜多嶋舞が演じる女性は、いかにも喜多嶋舞本人に当てて描かれている女優である。
女優のストーリーということもあり、映画の中に劇中劇が複数盛り込まれ、物語は何重にも入り組んだ複雑な様相を見せる。
そんな虚実の境が不明瞭な物語の中で、喜多嶋舞のまさに「体を張った」熱演は想像を絶する。
拷問、レイプ、自慰…この映画の中で喜多嶋舞はほとんど服を着ていない。
中でも圧巻なのが、深夜の山手線の中で下着をつけていない下半身を向かいの席のカップルに見せ付けるシーンだ。
派手な服を身に纏い、血のように赤い口紅を塗りたくりながら足を180度開くという、前代未聞の壮絶なシーンである。
激しく下品で、なのになぜか神々しさすら感じる。
喜多嶋舞の表情には、何かが憑依したようなエロティシズムがあった。
もともと石井隆監督のファンだったという彼女。
『GONIN2』で石井作品は経験済であったが、ここでの彼女はイマイチ個性に欠けており、何より吹っ切れた感じがなかった。
石井隆監督が彼女を当てて書いたという『人が人を愛することのどうしようもなさ』のオファーが来たときは「この話を断ったら、今まで女優をやってきた意味がない」「震えるくらいにドキドキしている」と快諾したらしい。
さすがに「元美少女アイドルがヘアヌードになった」ということで、世の中の注目をかなり集めていた。
事前の情報だけでは、「なぜ今喜多嶋舞なのか。そしてなぜこのようなリスクの大きい役柄を演じるのか」という疑問を抱いたのが正直な感想であった。
しかしこの映画の中で女優・名美を演じる喜多嶋舞を見て、妙に納得感があった。
喜多嶋舞は刺激に飢えていて、今までの女優としてのキャリアをかなぐり捨ててでも新しいものを得たかったのだろう。
「裸になること」イコール「女優魂」ではないと思うし、イコール「体当たりの演技」ではないとも思う。
しかしこの映画での喜多嶋舞は魂を削って演じているように見えた。
石井隆監督作品では、余貴美子・大竹しのぶ・夏川結衣・川上麻衣子といった数々の女優たちが名美という女性を演じてきた。
私が観てきた名美の中でも、喜多嶋舞の名美が最も激しく下品で淫らである。
でもそんな卑俗な演技の中にある美しさを際立って感じたのも確かである。
石井隆監督はまた新たな名美を作り上げた。
喜多嶋舞の魂の叫びを、しかと見届けるべきだ。